引越し業者にお礼のチップを渡す?渡さない?217人にアンケート
チップの習慣のない日本では、その相場や渡すタイミングを教わる機会がありません。そもそも、どんな場面で渡すべきなのかもわかりづらいものです。
引越しの際は、チップを渡したほうが良いのでしょうか?
日本で渡すチップは「感謝の気持ち」の意味合いが強く、「心付け」とよく似ています。
チップも心付けにも、正しい規則や金額はありません。そこで、200人以上に行ったアンケートをもとに、チップを渡す・渡さない、金額の相場などをわかりやすく分析していきます。
これを参考にして、引越し時のチップを検討してください。
217人中、引越しの時チップを渡す人は56.7%
渡す人 | 渡さない人 |
|
男性 | 49.3% | 50.7% |
女性 | 60.4% | 39.6% |
全体 | 56.7% | 43.3% |
引越し時にチップを渡す人は、全体では56.7%という結果になりました。男性に比べ、女性のほうが10%以上多いという結果に。女性は半数以上、60%以上が渡しています。こういった細やかな気遣いは、女性のほうが得意なのかもしれません。
また、家族がいる場合は、奥さんが細かい仕切り担当・旦那さんは力仕事、という役割分担がされていて、チップを渡すか渡さないかは、奥さん=女性の判断に任せられている可能性も高いと思われます。
渡した人の意見
・とても親切、丁寧に対応してくれたので感謝の気持ちを込めて渡しました。
・お仕事してもらっているし、多少わがままも聞いてもらっているので。
最も多かったのは、「感謝の気持ちを込めて渡す」という意見です。海外で渡すチップは「渡すべきもの・必要な料金」という意味合いが強いですが、日本では「ありがとうの気持ち・感謝の気持ち」を込めて料金とは別に渡すもの、という意味が強いようです。
気持ちよく作業してほしいから、という意見も
・作業員の気分が良くなると思うからです。
大変な引越し作業をお互い気持ちよく進めたいから、という気持ちが見えます。引越し業者の方々も、チップをもらえば気持ちが違ってくるでしょう。丁寧な作業や円滑な進行を期待して渡す、という人が多いようです。
渡すタイミングは作業後がトップ
作業前 | 14%(17人) |
作業中 | 31%(38人) |
作業後 | 55%(68人) |
チップを渡すタイミングは、作業後がトップの55%でした。半数以上の人が作業後に渡していて、ここでもお礼の意味がこもっていることが分かります。
作業後に渡した人の意見
・引っ越しは重労働だと思うので、感謝の気持ちに飲み物代くらい差し上げたいので。
・引越しを迅速に行ってくれたお礼。
チップ=お礼としての考え方が、ここでも反映されています。以前引越しのバイトをしていてその大変さがわかるから、という意見もちらほら見られます。引越しの作業は思った以上に力仕事で大変ですから、このようなお礼があれば、引越し業者の方も気分よく帰ってもらえますね。
作業中に渡した人の意見
・渡したほうがサービスが良くなり丁寧に作業してもらえるから
・ちょっとでも丁寧に運んでもらいたいから。
作業が大変な中、ねぎらいの気持ちを渡したい、最後まで丁寧な仕事をお願いしたい、という気持ちが表れています。
作業中・作業後に渡す人の特徴としては「飲み物と現金」「飲み物だけ」という人が多いこと。汗だくで作業する方へ、水分補給の気遣いまでしていることが分かります。
作業前に渡した人の意見
・渡したほうが丁寧な作業を期待できるから渡す。
・渡すことで相手も気持ちよく仕事ができると思うし、こちらとしても頑張ってもらえると嬉しいので。
・お願いしますの気持ちを伝えるため。
今から行う引越し作業を気分よく始めてもらいたい、荷物を丁寧に扱ってほしい、という期待感が見えてきます。モチベーションを上げて作業をしてほしいという思いがこもっていますね。「よろしくお願いします」という気持ちを表したい場合は、作業前にチップを渡しましょう。
1番多いチップは飲料、次に現金
飲み物 | 68%(84人) |
お金 | 51%(63人) |
食べもの | 14%(17人) |
(※123人中重複あり)
チップの内容は飲み物(お茶・コーヒー等)が68%と、圧倒的な多さです。チップ=お金というイメージがありますが、大量に汗をかく引越し作業には、飲み物が適しているのかもしれません。
また、飲み物+現金という意見も多数ありました。飲み物は差し入れとして、現金は謝礼として、両方渡す人もいるということですね。より丁寧にお礼の気持ちを表すなら、現金と飲み物という選択が◎、といえます。
そのほかにもタバコ、クオカード、ビール券など、現金以外の現物・金券を一緒に渡すという方もいました。作業員の方の好みや傾向が分かっている場合は、チップの形を変えてみても良いかもしれません。
現金の平均額は2,429円(トップは1万円、最安値は500円)
現金を渡した人の平均額は、2,429円です。トップが1万円、最安値が500円ですから、かなり開きがありますが、ほとんどの人は数千円渡しているということです。あくまでも平均値ですので、チップを渡すときの一つの目安としてとらえておけばよいでしょう。
また、渡し方には以下のような傾向がありました。
・作業リーダーに「皆さんで」とまとめて渡す(人数頭で割り切れない金額)
例)3人の作業員で5,000円を作業リーダーに
・作業リーダーに「ひとり当たりの金額×人数分」を渡す
例)ひとり当たり2,000円分×3人=6,000円を作業リーダーに
・ひとりひとりの作業員に数千円ずつ渡す
例)1,000円ずつを3人の作業員それぞれに
「皆さんで」とまとめて渡した人の中には、「お昼代として渡す」という意見がありました。まとめて渡す場合は、「皆さんでお昼でも食べてください」「お茶やコーヒーでも飲んでください」という気持ちが込められているのが分かります。
チップの渡し方や金額には明確なルールがなく、必要だと思う金額を自分のやり方で渡して問題ありません。チップは渡す人の気持ちですから、金額や渡し方にこだわりすぎないようにしましょう。
年齢が高い人ほどチップを渡す傾向がある
渡す人 | 渡さない人 | |
20代 | 41.2% | 58.8% |
30代 | 34.4% | 65.6% |
40代 | 76.5% | 23.5% |
50代 | 71.4% | 28.6% |
渡す人・渡さない人を年代別でみると、圧倒的に年齢が高い人ほどチップを渡す傾向があります。20代・30代は半数以上が渡していないのに対し、40代・50代では70%以上の人がチップを渡しています。
これは、若い人がお礼をしない・気が利かないということではありません。人生経験を積み、お礼やチップを渡すという場面を何度も経験することによって、引越し時のチップにも気配りできるようになる、ということではないでしょうか。
また、家族が増えると引越し時の荷物も増えますから、作業員の負荷も大きくなります。その分、「お礼をしたほうが良いのでは」という気持ちが働きやすくなるということも考えられます。
年代が進むにつれて経済的なゆとり、精神的なゆとりが増えることも影響しているでしょう。
まとめ
チップは強制ではなく、個人の気持ちを表すものです。渡さない人は気が利かない、お礼の気持ちがないというわけではありません。
お礼の気持ちをチップという形にすれば、お互いに気持ちよく引越し作業ができるということです。
作業をねぎらう気持ちや、大変な作業をお願いします、という気持ちを表す時に、チップという形を利用していきましょう。