引越しそばってナニ?何をどうするのが正しいの?
引越し後、両隣や近所の住人に「おとなりに引越ししてきました。これからよろしくお願いします。」とあいさつすることを「引越しそば」と言います。
挨拶の習慣がなくなった今では引越しそばの本来の意味を知っている人も少なくなりました。
この記事では、引越しそばの本来の意味や挨拶の仕方、粗品の選び方や挨拶をしたほうが良い場面・しないほうが良い場面など、引越し後の挨拶について解説しています。
これから引越しをする人はぜひ参考にしてください。
引越しそばってそもそも何?どんな意味?
「引越しそば」の本当の意味は?
「引越ししたら引越しそばをするもの」そんな話は誰でも聞いたことがあるのではないでしょうか。
引越しと引越しそばをセットで記憶している人は多いものの、その本当の意味を知らない人も多い様子。引越しそばとは一体何なのでしょうか。
引越しそばは、江戸時代に広まった習慣の一つです。
「引越し後にみんなでそばを食べること」が引越しそばだと勘違いしている人も多いようですが、それは間違い。引越し後のご挨拶としてそばを配るのが引越しそばの起こりです。
「引越しそばは済ませた?」と年配の方に言われたら、それは「ご挨拶は済ませたの?」という意味ですので間違えないように気を付けましょう。
引越しそばには「細く長くお世話になる」という意味も込められています。「側(そば)」に引越ししてきた掛詞という説もあり、江戸の粋な一面ものぞき見られる風習です。
なぜそばを贈るの?うどんはダメ?
では、なぜそばを贈るようになったのでしょうか。
それまでの引越しの挨拶は小豆を使ったお餅やお粥でした。
しかし、小豆はまだ高価なものなので引越しの挨拶に用いるにしては負担が大きかったようです。
徐々に手に入れやすいそばに移行して、天明年間(1780年代)にはこの風習が確認されています。
引越しそばご近所の方に「せいろ2枚ずつ」、大家さんに「せいろ5枚」という基本的なルールはあったものの、ゆでたそばを配ると劣化してしまいます。
現在のような乾そばがない時代ですので、実際には「そば切手」と呼ばれる商品券やビール券に当たるものを配っていたようです。
ちなみにこれは江戸界隈だけの風習だったようで、上方(現在の大阪・近畿地方)では引越しそばの風習はありません。
引越しの挨拶の習慣はあったかもしれませんが、そばを食していたのは江戸が中心です。大阪でそばを配る習慣は根付かなかったのも当然でしょう。
そして現代では、そば以外のものを挨拶として配るのが一般的です。
「うどんじゃダメなの?」という意見もありますが、相手が困らないものなら何でもOKです。うどんが名物の土地から引越ししたのなら、地元のうどんを挨拶として渡すのも良いでしょう。
ただし、食べ物類は腐らない状態で渡すのが最低限のマナーです。
現代の「引越しそば」とは?
引越しそばとして贈るなら何がおすすめ?
引越しのご挨拶に、何か贈り物をすることを「引越しそば」と言いますが、今ではそばを贈ることはまれです。
引越しそばを知らない人も増えており、一人暮らしの場合は挨拶をしない人も多いでしょう。しかし、家族がいる場合は挨拶をしたほうが暮らしやすくなる場合も多いはずです。
隣人の様子をうかがうためにも、何かしらの挨拶をしておきましょう。挨拶でもっていくものは食べ物である必要はありません。
日用品でよく使うもの、デザインを選ばないものなど、だれでももらって嬉しいものが良いでしょう。代表的なのものは白いタオルや台所用洗剤、ラップやホイルのセットなど。
500円~1,000円程度のものを選びましょう。
熨斗を付ける場合は「御挨拶」「粗品」「御礼」など。のしは特になくてもかまいません。
相手に会えなかった場合は手紙を書いて相手の家の前に置いておくのも方法の一つです。
忙しい現代は顔を合わせる機会も少なくなりがちですので、やむをえない場合は手紙で済ませてもよいでしょう。
引越しの挨拶にお返しは必要なの?
では、引越しそば(引越しの挨拶)をもらった場合、お返しは必要なのでしょうか。せっかく挨拶していただいたし、これから顔を合わせることもあるし・・・と考えると、とても気になるものです。
引越しの挨拶は「よろしくお願いします」という意味の粗品ですので、もらったものに関してのお返しは必要ありません。
ただし、顔を合わせた場合は「この前はありがとうございました」の一言を忘れずに。品物を返す必要はありませんが、お礼の一言は必要です。
どうしても気になる場合は、何かお返ししても構いません。同じぐらいの値段のモノで、違う品物を返しましょう。お返しも日用品が使いやすくて喜ばれます。
引越しそばをしたほうが良い場合って?
家族向けのマンションでは挨拶するのがおすすめ
引越しの挨拶はどこまでしておくのが良いのでしょうか。
最近は挨拶をしない人もふえ、子供に声をかけられるのを嫌う人までいます。挨拶をするときも周囲の反応は気になるところです。
インターネット上の意見を見ると、家族が多いマンションや戸数が少ないマンションでは挨拶をする人が比較的多いようです。
理由は「子供が迷惑をかけるかもしれないから」という子供がらみのものが多め。挨拶をしておけば、子供が多少騒音を起こしてもトラブルになりづらいから、という思いが反映されています。
丁寧な人は、隣だけでなく上下の階にも挨拶をしたという人もいます。
これも子供の騒音を考えてのこと。小さな子供が家で遊ぶ時間が長い場合は、トラブルを避けるために一言挨拶をしておくとよいかもしれません。
また、子供が多いマンションであれば顔を知っておいたほうが気分的に楽になることもあります。
防犯の意味で挨拶しておくという人もいますので、家族がいる人はぜひ参考にして、引越し後の挨拶をしてみるとよいでしょう。
粗品を置いておくだけでも印象が変わってきます。
一人暮らしの場合、引越しそばはどうする?
ひとり暮らしの引越しそば事情は、家族がいる場合と違っています。昨今の住宅事情・仕事事情では顔を合わせることもほとんどなく、引越し後の挨拶をする人も少なくなってきました。
女性の場合は一人で暮らしていることを周囲に知られないほうが良い場合も考えられます。女性専用のマンションなどでない限り、挨拶は控えたほうが無難です。
また、男性が突然一人で挨拶に来たら驚かれますので、一人暮らしの挨拶はよくよく考えて。顔を合わせて問題ない場合は両隣とあいさつを交わしておきましょう。
まとめ
引越しそばについて解説してきました。
引越しそばは「引越しの時にそばを食べる」という意味ではなく、引越し先の周辺に粗品を持って挨拶することを指します。
一人暮らしの場合は挨拶を省くことが多く、粗品も必要ありませんが、家族がいる場合は挨拶しておいたほうが良いことも。できるだけ負担にならない程度の粗品で挨拶しておきましょう。