引越し後は3ヶ月選挙権がないって本当?
引越しした後、3か月は選挙権がないと言われています。
しかし、細かくひも解いていくと必ずしも正しいとは言えません。
地方選挙・国税選挙など選挙の種類によっても違っていますし、転出する場所によっても異なります。
この記事では引越し後どの選挙に投票でき、何カ月ですべての選挙権が復活するのかなど、選挙権についてさらに詳しくひも解いています。
引越し後に確実に選挙に参加するために、ぜひ参考にしてください。
引越し後3か月は選挙権がない?
選挙権が与えられる人の基準
「引越し後、3か月は選挙権がない」そんな話を聞いたことはありませんか?
選挙があるタイミングで引越しをした場合、選挙に関するハガキが自宅に届かないこともあります。選挙権はどのようなルールで決められているのでしょうか。
現在では18歳以上の人に選挙権が与えられており、各市区町村の『選挙人名簿』に登録されている人に選挙権が与えられます。
この選挙人名簿には「定時登録」と「選挙時登録」の2種類があり、定時登録は3月・6月・9月・12月の年4回の1日付で、選挙時登録は各選挙の基準日に登録します。
選挙時登録されるのは「3ヶ月以上その区市町村の住民基本台帳に記録されて居住している人」で、選挙日までに年齢が18歳以上になる人。
ほとんどは告示日の前日が基準日となり、その日に登録されます。
選挙の種類によってちがう、引越し後の選挙権
選挙権を与えられる基準は前述したとおりです。選挙の種類によっても選挙権の有無が違ってきますので、その点を押さえておきましょう。
<国税選挙の場合>
国税選挙は、引越し先が国内であればいつでも選挙権があります。
引越しの際も関係なく、旧住所での投票が可能です。郵便局で転送届を出しておけば、新住所地に選挙管理委員会から投票権が送られてきます。
転入届提出から3ヵ月をすぎないと選挙人名簿にと登録されないため、引越し直後は新住所地での投票はできませんが、旧住所地に出向けば投票が可能です。
旧住所地が遠い場合は、不在者投票の手続きをとれば新住所地で投票できます。
県外に引越しした場合は旧住所地に出向くのはなかなか大変ですので、不在者投票で対応しましょう。
投票場所がはっきりわからない場合は、新住所地の市区町村、選挙管理委員会に問い合わせてください。
<地方選挙の場合>
地方選挙の場合、転出届を提出すると今まで住んでいた自治体で行われる選挙の選挙権は失います。
ただし、引越しした場所によって失う選挙権は異なります。
県外に転出した場合は県知事・県議会議員選挙の選挙権を失いますが、同一県内の場合は引越し先の市区町村で投票できます。
市区町村を移動した場合はそれぞれの市町村選挙や町議会選挙の投票はできません。
このように、選挙の種類によって選挙権に関する手続きは違っています。
「3か月選挙権がない」という考え方は必ずしも正しいとはいえません。選挙の種類や引越しした場所によっても違ってくるのです。
例えば、東京に出ていた学生が3月に卒業して地元に帰り、4月に地元で県知事選挙があった場合、転入して3カ月たっていないため選挙権はなくハガキも送られてきません。
筆者も同じような経験があり、地元の選挙に投票できなかったという記憶があります。
国税選挙の場合は旧住所での選挙権がありますので、引越しした場合は必ず郵便局に転送届を出し、ハガキが届く状態にしておきましょう。
引越し後、はがきが送られてくる場所は?
前述したとおり、選挙の際は選挙人名簿に登録されている人に対して選挙権が発生します。
国税選挙の場合は転出日から4か月以内は旧住所地の選挙人名簿に登録されており、旧住所地での投票が可能です。
ハガキが送付されるのはその選挙人名簿に登録されている住所ですので、転出後3か月は旧住所地のまま。
引越しした場合も旧住所地に送付されますから、郵便局での転送で新住所地に届きます。
選挙の種類(地方選挙)は郵便局が転送しないので、県外に転出した場合は新住所地にも届きません。
旧住所地が福岡で東京に転居し、3か月以内に福岡県内で地方選挙があった場合は、その選挙に投票はできないということです。
ちなみに、福岡県内で引越しした場合(北九州市から福岡市など)の場合、福岡県知事選挙や福岡圏議会議員選挙には旧住所地(この場合は北九州)で投票できます。
投票するには証明書が必要ですが、同じ県内に住んでいる場合の県知事・県議会選挙には投票可能ですし、郵便局も選挙のはがきを転送します。
少し複雑ですが、投票権のあるものは郵便局で転送しておけば新住所地に届く、と覚えておきましょう。
投票権があるのに投票できなかったということがないように、郵便局で転送届を出しておくのが大切です。
「選挙があるのにハガキが届かない!」という人は郵便局の転送届を忘れている、投票権がない選挙(旧住所地の地方選挙)である、転入後3カ月経過していない、のいずれかに該当します。
引越し後、選挙権に関する手続きは?
これまで説明してきた通り、すべての選挙で引越し後3か月投票権がないということではありません。
選挙の種類によっては投票できるということがお分かりいただけたかと思います。
では、引越し時の選挙権に関する手続きは何が必要なのでしょうか。
実は引越しに関して特別手続きは必要なく、大切なのは「住民票を確実に移動させる」のが大切です。
転出届・転入届によって住所が変わり、選挙人名簿の記載も4か月後に変更になります。これで選挙権に関する手続きは完了しています。
うっかり転入届を出し忘れて居たり、旧住所地のままになっていたりすると新住所地での選挙権はいつまでもないままです。
ついうっかり・・・という事態を避けておけば、確実に選挙権は得られます。
大学進学で遠くに転居した場合、親元に住所を残したままの人もいると思いますが、その場合は地元で投票することになります。
選挙のことを考えれば少し不便ではありますので、その点を加味して判断しましょう。
まとめ
「引越し後は3か月選挙権がない」と言われていますが、選挙の種類によって異なっているということがお分かりいただけたでしょうか。
少し複雑ですが、基本的なルールだけ覚えておくとよいでしょう。
県外に転居した場合は旧住所地での地方選挙の投票権はなくなり、国税選挙の投票はがきは郵便局の転送によって送付されます。
届いていない場合は郵便局の転送届が出ていないということですから、確実に転送届を出しておきましょう。
各自治体には選挙管理委員会が設置されていて、疑問はなんでも受け付けてくれます。
初めて遠くに引越しした場合は選挙権のこともよく分からず、戸惑うことが多いと思いますので自治体の選挙管理委員会に確認してみましょう。