引越し業者はクーリングオフ出来る?実際のところを解説
引越し業者にお願いをしたもののキャンセルをしたくなることはありますよね。
このような場合、クーリングオフを利用できるのでしょうか。引越し業者とクーリングオフについて解説します。お困りの方は参考にしてください。
クーリングオフ制度とは
クーリングオフ制度は、特定商取引法などで定められた消費者を守る制度です。
クーリングオフを利用すれば、訪問販売やマルチ商法などで契約してしまった場合に、一定の期間内であれば条件を問わず一方的に契約を解除できます。
一定の期間は、販売方法などにより異なります。例えば、訪問販売・電話勧誘販売は8日間、マルチ商法は20日間などと定められています。一定の期間は、申し込み書面または契約書のいずれかを受け取った日から始まります。
この間に、販売会社・信販会社などに通知書を送ることで、条件を問わず一方的に契約を解除できます。詳しい情報が必要な方は、国民生活センターのウェブサイトなどで確認してください。
引越し業者との契約はクーリングオフ出来る?
通常、何かしらの契約を結ぶと理由なく契約を解除することはできません。クーリングオフは、不意打ちやだまし討ち的な販売方法から消費者を守る制度といえるでしょう。引越し業者と結んだ契約に、クーリングオフは利用できるのでしょうか。
クーリングオフは、消費者が圧倒的に有利な制度です。特別な制度といえるので、すべての取引に利用することはできません。
先ほど紹介した訪問販売・電話勧誘販売・マルチ商法など、クーリングオフができる取引は決められています。
引越しは申し出ればキャンセルできる
引越し業者との取引にクーリングオフを利用できないと聞くと焦ってしまいますよね。気持ちはわかりますが、焦る必要はありません。引越し業者との取引は、普通に連絡すればキャンセルできます。
キャンセルの理由が見当たらない方は、「仕事や家庭の都合で引越しがキャンセルになってしまった」などと伝えてみてはいかがでしょうか。苦労することなくキャンセルできるはずです。
引越しのルールは「標準引越運送約款」に定められている
キャンセルをはじめとした引越しの基本的なルールは「標準引越運送約款(国土交通省)」に定められています。たいていの引越し業者が標準引越運送約款を採用しています。
引越し業者が採用している約款は見積もり時に提示されます。標準引越運送約款を採用していれば、次のルールに基づきキャンセルできます。
引越し前日から解約手数料料が発生
標準引越運送約款には、申込者の都合で引越し前日にキャンセルすると引越し料金の10%以内、申込者の都合で引越し当日にキャンセルすると引越し料金の20%以内の解約手数料を請求できると記載されています。
面倒な手続きなしで解約できるルールになっているので、クーリングオフ制度を利用する必要はないでしょう。
確認の連絡がなければ解約手数料はかからない
標準引越運送約款には、引越し業者は引越し予定日の2日前までに申込者に連絡をして見積書に記載した内容に変更がないか確認しなければならないと記載されています。
これを怠ると、申込者が引越し前日・引越し当日にキャンセルを申し出ても解約手数料を請求することはできません。
つまり、解約手数料なしで解約することが出来るのです。お得になるような印象を受けてしまいますが、2日前までにキャンセルの連絡をすれば解約手数料はかかりません。
キャンセルの連絡が遅くなると引越し業者に迷惑をかけてしまうので、キャンセルが決まっている方は早めに連絡したほうが良いでしょう。
実費を請求されることはある
引越し業者との契約をキャンセルした場合、解約手数料のほか実費を請求されることがあります。標準引越運送約款に、引越し業者がすでに実施、または着手した附帯サービスに要した費用を受け取ると記載されているからです。
ここでいう「すでに実施、または着手した附帯サービス」の代表として挙げられるのが、ダンボールなどの梱包資材です。これらを受け取り使用している方は、実費を請求されることがあります。
まだ使用していない場合は、返却を求められることがあります。返却に係る送料は申込人負担となることが一般的です。
梱包資材費のほかでは、利用したオプションサービスなどが「すでに実施、または着手した附帯サービス」に当たります。これらを利用した場合も実費を請求されます(申し込んだだけで利用していない場合は請求されません)。
引越し業者がダンボールを置いて行った場合
引越し業者の中には、訪問見積もりの時点でダンボールを置いていくところがあるようです。契約を結んでいないのであれば、他の業者と契約してもキャンセル料を支払う必要はありません。
ただし、断りを入れたときにダンボールを送料負担で返送してほしいなどといわれることがあるので、契約を結んでいない引越し業者からダンボールを受け取ることは控えたほうが良いかもしれません。
独自の約款を採用している引越し業者もある
ほとんどの引越し業者が標準引越運送約款を採用しているので、基本的には以上のルールで契約をキャンセルできます。
引越し業者によっては、標準引越運送約款とは異なる解約のルールを定めていることがあるので注意しましょう。引越し業者が採用している約款は、見積もり時に必ず提示されます。
契約前にキャンセルのルールを確認
引越し業者によりキャンセルのルールは異なります。キャンセル時のトラブルを避けるため、契約を結ぶ前にキャンセルのルールを確認しておきましょう。
見積もり時に、解約手数料が発生する時期、請求される恐れのある実費などを確認しておくと安心です。
まとめ
引越し業者との取引にクーリングオフは利用できません。引越し業者との取引は、標準引越運送約款に基づきキャンセルできます。
キャンセルした場合、引越し予定日の前日であれば引越し料金の10%以内、引越し予定日の当日であれば引越し料金の20%以内の解約手数料がかかります。すでに受けたサービスの実費を請求されることもあります。
以上を基本としつつ、キャンセルのルールが異なることもあります。これから契約を結ぶ方は、キャンセルのルールを確認しておきましょう。
キャンセルのルールは、見積もり時に提示される約款で確認できます。すでにキャンセルが決まった方は、解約手数料を請求されないため、引越し業者に迷惑をかけないため、早目に連絡をしましょう。